インプラント・予知性を高める即時治療法

 2019年7月14日大阪・梅田のナレッジ・キャピタルで、インプラントの老舗ノーベルバイオケア主催の上記講演会が開催されました。
 講師はオランダ・アムステルダムからノーベルバイオケアのクリニカル・アドバイザーをしているTristan Staas先生と福島県・いわき市で開業の小濱忠一先生でした。

Staas先生のお話

 まず冒頭、Staas先生いわく、15年前に講演したことの半分は現在も通用するが、残りの半分は、概念の誤りもしくは変更が必要とのお話がありました。
 臨床のコンセプトは全ての領域で急速に変化が起きており、過去の成功体験に縛られていると、あっと言う間に臨床医は時代に取り残されるのである。
 Staas先生は、抜歯と同日のインプラント埋入がこれからの臨床の主流になるのは避けられないとの見解であり、既に世界的にこの潮流がメインになりつつあるとの見解でした。
 筆者も、既に9割以上は、抜歯と同時のインプラント埋入になっており、改めて自身の臨床が、概念においても術式においても、現在の世界標準とほぼ同一と確信した次第です。
 抜歯即時埋入による術式の単純化と治癒期間の短縮は、現在の所、症例選択を慎重に行う必要があるが、患者さんにも術者にも優しい治療となるのである。
 またインプラントの埋入トルクとインプラントの初期固定の数値には、実は相関が無いとの見解でした。
 さらにインプラント即時埋入は抜歯後、抜歯と同日または抜歯後1週間以内に行われるのが望ましいとの見解でした。
 またノーヘルバイオケアの新しいインプラントの紹介もあり、これが日本に上市されるのは、2年位後になるとの報告がありました。

小濱先生のお話

 小濱先生は長期症例にみるNobel Activeにおける抜歯即時埋入の結果と考察に関して講演されました。
 以前10年位前、東京医科歯科大学のCDEで小濱先生のお話しを聴きましたが、当時はジルコニアが歯科の世界に入って来て日がまだ浅い中で、小濱先生のプロセラによるジルコニア補綴のケースを供覧したものである。

 小濱先生いわくインプラント埋入後の歯肉退縮を防止するには、骨の厚みに加えて歯肉の厚みの確保が重要とのお話で、葛飾区の鈴木真名先生と基本的には同じ考えでした。
 また、前歯審美領域では、唇側面審美再現にはネジ止めの冠よりセメント仮着の冠の形式の方が審美再現の技工のスペース確保には有利であるとの考えでした。
 近年話題に取り上げられるインプラント周囲炎に関しても、最初の埋入時に既に頰側の骨量が不足している可能性が示唆されました。
 オペ時に骨内にインプラントが埋入されていても、その段階で頰側に最低でも1.5mm以上の骨の厚みが欲しいとのことでした。