ペリオドンタルEr:YAGスーパーコンセプト・歯周病・インプラント
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一痛みが少ない きれいに治る 早く治る一
2019年7月21日御茶ノ水の東京医科歯科大学で、エルビウム・ヤグ(Er:YAG)レーザーの歯周治療とインプラント治療への臨床応用に関して勉強会がありました。
講師は医科歯科大学・歯周光線治療学教授の青木章先生、同じく医科歯科大学の歯周病科助教の水谷幸嗣先生、札幌市開業で医科歯科大学歯周病学講座非常勤講師の谷口陽一先生でした。
青木教授のお話
まず冒頭、青木教授から平成時代に入り、昭和の時代より進化して楽になった歯周治療ということで以下の項目が挙げられた。
- 刃部が小型のキュレット型スケーラー
- スーパーボンドの進化
- 光重合レジン(特にフロアブルタイプ)
- 超音波スケーラーの気の利いたチップ
- 抗菌薬(アジスロマイシン)
- レーザー
- サイトカインの類(エムドゲイン・リグロス)
また歯周光線治療学における研究課題として以下の項目が指摘された
- 光療法
- 光殺菌
- 光診断
さらに歯科治療におけるレーザー応用のNeedsとして
- 従来の治療よりも、術式や手技が容易で確実になる
- 患者さんの術中・術後の状態が快適になる(ストレス・疼痛の軽減)
- 治癒が早く、治療成績が向上する
- 今までの機械的手段では改善しなかった病変部が改善あるいは治癒する
- 従来不可能であった治療が可能になる
またEr:YAGレーザーの特徴として
- 水への吸収が非常に高い
- 表面吸収型で組織中の散乱や透過は少ない
- 照射部の温度上昇が少ない
- パルスレーザーである
- ファイバーまたは中空導波管による導光
Er:YAGレーザーの利点として
- 軟組織、硬組織の蒸散能力が極めて高い
- 組織変性が極めて少ない
- 注水冷却が併用できる
- コンタクトチップの使用で正確で繊細な処置
- 高い臨床的安全性
欠点としては
- 軟組織処置時の止血効果は弱~中程度(治癒を阻害しない)
慢性化した深い残存歯周ボケット治療の問題点
臨床の中で5~6mm程度の中等度の歯周ポケットは、従来法による歯周ポケット内の機械的なクリーニングでも、大多数は安定化した治癒状態を達成することができるが、それ以上に深い8~10mmの深い垂直性の歯周ポケットでは、
- 機械的治療の反復でも治癒しない場合が多い
- 原因は上皮の深行増殖・歯肉内壁の慢性炎症巣・根面の解剖学的問題・慢性化した骨欠損の存在
上記の問題解決には、歯周ポケット内全体の掻爬による、抜本的な歯周組織構造の再構築が必要。
優しい歯周ポケット除去法・Er-LCPTとは
Er:YAGレーザーの補助的応用による包括的歯周ポケット治療(Er:YAG Laser-Assisted Comprehensive Periodontal Pocket Therapy)は患者さんにとても優しい歯周ポケット除去法です。
その内容は・・・
- 中等度~重度の歯周ポケットが治療対象
- 従来のSRPに補助的にEr:YAGレーザーを併用
- 根面のデブライドメント+ポケット内全体を掻爬
- Non-surgical pocket therapy→Flap-less minimally invasive surgical pocket therapy(侵襲が少なく患者さんに優しいポケット除去療法)
水谷先生のお話
エルビウム・ヤグ・レーザーによる切開について、替え刃メスや電気メスとの比較で、Er:YAGレーザーは、痛みが少ない、炭化が少ない、組織のダメージが少ないとの比較検討がされた。
特に血餅へのdefocus照射の重要性が論じられ、創面の治癒における血餅の保持の重要性が示唆された。
他には、歯肉メラニンの除去や歯肉内のメタル・タトゥーの除去が解説された。
さらにEr LCPTに関して、組織再生における優位性が、HLLTとLLLTの作用から論じられた。
さらに歯周外科治療の精度を上げるためにマイクロスコープ下での繊細で精密な処置とレーザーを併用することによる治療成績の向上について論ぜられた。
谷口先生のお話
谷口先生は、特にエルビウム・ヤグ・レーザーを用いた歯周病の外科処置における骨造成やインプラント治療における骨造成に関して、レーザーによる新しい手法の展開について論じられた。
Er-LBRTとは
Er:YAG Laser-assisted Bone Regeneration Therapyの略がEr-LBTRであり、谷口先生は「エルバート」と略して話されていました。
その内容は、人工骨移植後、メンブレンを使用せずにEr:YAGレーザーを用い移植骨表面への血餅形成により移植骨の形態を維持安定化させる骨再生治療である。
Er-LBRTの歯周治療への臨床応用
歯周組織再生治療
- 術式の簡略化
- 進化型Er-LBTR
歯槽堤保存術
- 開放創における骨再生
- 抜歯即時埋入
歯槽堤増大術
- 水平的増大術
- 垂直的増大術
インプラント周囲炎治療
- インプラント周囲炎とは
- チタンとレーザー
- 臨床症例
進化型Er-LBRT:MIEEとは
進化型Er-LBRT:MIEEとはMinimum Invasive treatment with a combination of Er-LBRT and Er-LCPT(MIEE)の略である。
臨床の現場ではマイクロスコープを使用し、従来の歯肉剝離手術より遥かに少ない侵襲と精密な処置で歯根周囲の骨再生を計るものである。
Er-LBTRのインプラントへの臨床応用
Er-LBTRのインプラント治療への臨床応用としては
歯周組織再生治療
- 術式のシンプル化が可能
- 進化型Er-LBRT
歯槽堤保存術
- 開放創における骨再生
- 抜歯即時埋入
歯槽堤増大術
- 水平的増大術
- 垂直的増大術
インプラント周囲炎治療
- インプラント周囲炎へのレーザーによるアプローチ
- チタンとEr-YAGレーザーは相性が良い
- 臨床例