歯科デジタル進化の進捗と睡眠時無呼吸症

 2019年10月6日日曜日名古屋・栄のデンツプライシロナ名古屋支店にて東京や神奈川で幅広く多数の医院経営を行っているM’sデンタル・クリニックの新井昌海先生のお話を聴くことができました。

 新井先生は国立・東京医科歯科大学・歯学部を卒業後、現在関東地区において9軒の歯科医院と1件の歯科技工所を経営しており、各分院にいる歯科医師の教育と全体の歯科医院経営のマネージメント力をどう向上させるかに精力的に取り組んでいる、生粋の経営者である。

歯科デジタルの進化


 新井先生曰く、これからはインプラントや冠・ブリッジ、矯正歯科の世界は、デジタルの技術進化で卒後の若い歯科医師とベテラン歯科医師との差異は徐々に小さくなるであろうとの予測。
 一方、歯の神経の治療や、歯周治療の特に歯周外科の分野においては、未だデジタル化は困難であり、術者によるスキルの差が相当あると考えるべきである。
 また隔年にスイス・ケルンで行われる世界的に著名なIDS(ケルン国際デンタルショー)に欠かさず出席し、自身の医院経営にも、世界の歯科のトレンドの動きを素早く取り入れている。
 新井先生はできるだけ早く口腔内スキャナーを導入して、CTとのコラボレーションを計り、インプラントの埋入や冠やインレーの製作を均質化すべきであり、早く使いこなすことを覚えるべきであるとのご意見でした。
 もちろんデンツプライが今秋発売したプライム・スキャンが、現在の所、口腔内スキャナーの一押しとのことでした。被写界深度、スピード共に現在では一番良いとのことでした。
 日本のGCも保険診療用に発売する予定のスキャナーがあるが、これは奥歯だけのスキャナーであり、前歯には使えないとのことでした。


 また新しいデンツプライのNiTiファイルがEUでは発売されており、時代は急激な変化を遂げている。より歯質を保存する歯内療法へと変革の嵐がやってきそうである。
 下記のYou Tubeを見て頂くと納得できると思います。

また、冠に用いられている参加ジルコニアの世代間の物性の差についても言及しました。

また義歯のデジタル製作にも触れ、義歯のピンクの歯肉と白い歯の部分を別々に3Dデジタルプリンターで作り、合体させる時代に欧米では既に入って来ている。

 また矯正治療に関しても、インビザラインとオルソパルスのコラボーレーションで、より早く歯が動くが、患者さんに1台18万円程度するオルソパルスを各自購入していただく必要があるとのことでした。

 また技術革新による器械の進歩により、インビザライン等のクリアなアライナー治療は今後ますます製造原価が安くなる可能性があるとのことでした。

 また矯正のインダイレクト・ボンドのデジタル化や、リンガルのINCOGNITのように、口の中に入れるワイヤーを器械が個人個人に合わせて曲げることが、表側の矯正治療においても、デジタルで可能な時代に既にきているのである。

睡眠時無呼吸症候群

 後半は新井先生の歯科医院で取り組んでいる睡眠時無呼吸の歯科的なアプローチに関して、CPAPと歯科的な下顎前方整位型のスプリントの使用の使い分けに関してのお話があり、睡眠の専門医とのコラボレーションの必要性を強く感じた次第である。