最近、矯正専門医の間で、他院で実施したインビザライン等のアライナーと呼ばれるクリアーなプレートによる矯正治療後のトラブルの相談が増加している。
 なぜトラブルが続発するのか、その理由を考察する

典型的なトラブルは抜歯部位に前後の歯が傾斜

 トラブルの一番多いケースは、抜歯部位に向かって前後の歯が倒れこむというものである。
 そもそもクリアープレートによる歯の移動は前歯と奥歯の力の引っ張り合いで生じるもので、通常は奥歯の方が歯根の表面積が大きく、前歯との力の引っ張り合いでは、奥歯の前方への移動は最小になるはずであるが、現実はそうならない。
 特に上の前歯6本をまとめて後方へ入れようとすると。前歯の歯根は上顎の内側の骨の硬い所にぶつかり、これが奥歯を前方に倒す力になるのである。
 インビザラインをはじめとして多くのアライナーと呼ばれるクリアープレート系の矯正装置はコンピューター・シュミレーションで細かく歯牙の動きを計算し、それに合わせて3Dプリンターが移動用の設計模型を作り、それに合わせてクリアーのアライナーは作られる。
 しかし、歯の根が存在する骨の状態までコンピューターシュミレーションのデータには入力されない。そのため現実の歯の移動と机上のプランとの乖離が生じるのである。

どうすればこの問題を解決できるのか?

 一番の問題は抜歯スペースをクローズするのにアライナー系の装置は基本的に向いていない。その理由としては

  • 移動のためのアライナーの枚数が100枚位かかることがあり、とにかく時間と手間がかかる。患者さんが少しでも装着をサボると、それだけで歯の移動に支障が出る。
  • アライナーで上顎の前歯を大きく内側にいれようとすると、前歯の歯根が骨の硬い所にあたり、結果、後ろの奥歯が前方に傾斜する

対策としては

  • 抜歯ケースの場合は大臼歯1級関係を予めアライナーとは別のメカニクスで確立しておき、アライナー使用中は臼歯関係を別の強固な固定装置で保持させる。
  • アライナーのみで治療を予定する場合は小臼歯抜歯をできるだけ回避し歯の近遠心的な削合を事前に考慮し歯牙の配置スペースを確保する。
アライナーと強固な臼歯部固定装置の併用

患者さんが心がけるべき事は

  • なんちゃって矯正医にはかからないこと。彼らは矯正の治療計画からして歯科技工所に丸投げしている場合あり。そもそも診断を自らしていない。
  • アライナーは、患者さんに真面目に装着してもらうことは言うまでもないが、必ず予定通り歯が移動しているか歯科医師にこまめにチェックしてもらおう。
  • 分院長に丸投げで、矯正担当の院長は時々顔を出す歯科医院もトラブルが多い。

治療のリカバリーはどうする?

アライナーの治療トラブルのリカバリーの実際は下記をご参照下さい。

アライナー治療の救世主

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