歯科矯正治療の新しい波

2019BENEFIT東京講演
2019BENEFIT東京講演

Contents

新しい上顎大臼歯遠心移動装置・BENEFIT

 できるだけ小臼歯を抜かない矯正治療を目指している当院に、また新たな矯正治療装置(BENEFIT)が導入されることになりました。
 2019年2月25日都内のホテルにドイツ・デュッセルドルフ大学矯正科教授のベネディクト・ビルメス教授を迎えて「歯科矯正と顎顔面矯正におけるスケレタル・アンカレッジの最新オプション」と題して、EU地域で広まりつつある新しい矯正装置の紹介がありました。
 筆者も3年程前に、、同大学のディーター・ドレシャー教授に既に、同装置の紹介を受けておりましたが、当時は日本の薬事の認可が装置に出ておらず、臨床に供することが出来ませんでした。
 昨年薬事の認可がおり、国内で販売・使用することが可能となってきました。

従来の装置の問題点

 できるだけ小臼歯を抜かないで矯正治療するには、上顎の側方への拡大と上顎の奥歯の後方移動が必要となるケースが多くなります。
 奥歯の後方移動の歴史を振り返りますと、古くは上顎の小臼歯より前の歯を支えにして、上顎の大臼歯を後方に移動する装置が主流でした。次に、矯正用のミニインプラントが登場すると、そのインプラントを支えに大臼歯の後方移動を行うことが行われるようになりました。
 しかし、従来の方法は、多くが大臼歯が後方移動を終えてから、小臼歯から1本ずつ順繰りに奥へ歯を送ることで最終的に前歯を並べてくるというものが殆どで、ここにある意味一番時間がかかるというものでした。

新しい装置(BENEFIT)はここがスゴイ

 新しい装置(BENEFIT)の優れている所は、上顎の奥歯を後方移動したあと、奥歯より前方の歯を一塊として一度に後方へ移動させることが可能となり、極めて治療がシンプルで高速化されることにあります。
 これにより、治療期間の短縮や患者さんの快適性が更に向上されるでしょう。当院でも、この装置を積極的に導入し、矯正治療の新時代を創造していきたいと考えています。