日々の筋機能矯正治療におけるU Conceptの臨床応用(矯正治療)

2019年9月23日東京・御茶ノ水において、ハンガリー生まれで、現在フランスで開業している矯正専門医のDr.Veronica DERCSAR(ベロニカ・デルチャーレ)先生を迎えて、矯正治療におけるBioprogresive TherapyのZERO Base Conceptを提唱しているCarl F.Gugino先生達と一緒に開発し、ヨーロッパで、最近臨床で広く使われるようになってきているU Conceptに基づく新しいシリコン製の筋機能矯正装置に関して、そのコンセプトと臨床への応用に関してお話を聴くことができました。

U Concept 筋機能矯正装置

 冒頭、講師のベロニカ先生は不正な嚥下や口呼吸、姿勢が不正咬合を形作る根本的な原因であり、早期治療の重要性を力説されました。
 何十年も口呼吸をしてきた大人が、成人になって矯正治療を行って、それで口呼吸が改善されるかと言えば、答えはNOと言わざるをえない。そのような状態で成人矯正を行っても、治療後に歯列が不正咬合へ後戻りし易いのは自明の理である。
 歯の位置は、舌と頰や嚥下する際に用いる筋肉の相互作用により決まるもので、いくら矯正で歯の位置を正しくしても、1日何百回と行う呼吸や嚥下の力が、歯の移動に関しては、歯科矯正のワイヤーによる移動力より、遥かに優るのである。

矯正における早期機能改善の重要性

 ベロニカ先生曰く、小学校就学前からの、口呼吸や異常な嚥下習癖・姿勢を改善することで、良い歯並びを自然に達成できる可能性が高くなる。
 早期治療の目標は、口呼吸から鼻呼吸にすることであり、摂食嚥下の際に奥舌を使い、同時に上下奥歯が軽く咬みあうのが望ましいのである。
 こうすることで、舌が上顎を常に上方と側方に押す力が働き、上顎の骨格がきれいなU型になり、それに伴い歯列もきれいなU型となるのである。

小児の矯正治療で最も大切なのは口呼吸・嚥下の改善

 矯正治療には矯正装置ありきという思考は一部正しいが、一部間違っている。
 小児の矯正治療において矯正装置はもちろん使って欲しいマテリアルであるが、装置の継続的な装着と平行して、子供自身が口呼吸の是正や、物を飲み込む時の嚥下や日常生活での姿勢の改善等に真剣に取り組まないと、本質的な機能改善とはならないのである。
 歯科医院へ行って正しい呼吸や嚥下・姿勢を練習、獲得することが最も大切なことなのである。
 正しい呼吸や嚥下が備われば、自ずから美しい歯並びは獲得できるのである。