日本口腔インプラント学会・第37回口腔インプラント専門医臨床技術向上講習会

 2019年10月20日・東京・御茶ノ水のホテル・ガーデンパレスにて日本口腔インプラント学会主催、第37回口腔インプラント専門医臨床技術向上講習会が開催された。
 日本全体が超高齢社会へと向かう中、これからのあるべきインプラント臨床をどのように臨床の中で展開すべきなのか。
 認知症や高齢者特有の身体的な特徴、高齢になって施設に入所したり、寝たきりになった場合など、考慮すべき課題は山積しているのである。

プログラム

  • インプラント治療における4D Planningの重要性
  • インプラントロジストのための臨床解剖学
  • 訪問歯科診療とオーラルフレイルから考えるインプラント
  • 高齢者に対するインプラント治療のリスクアセスメント
  • インプラント患者の高齢化と在宅医療を必要とする患者への対応と現状
  • 高齢インプラント患者の背景と問題点-歯科麻酔医の視点から-

高齢化社会におけるインプラント治療

 日本においては、他の先進国に比べて、未曾有のスピードで高齢者数が増大する超高齢社会が到来すると言われている。
 そのような中で、これからあるべきインプラント臨床の姿を模索・提言するというのが今回の勉強会のテーマである。
 インプラント施術時の高齢者の全身的なリスク管理はもちろんのこと、認知症が進んだり、老化による機能低下においては、自らの口腔ケアが困難になるため、歯がまず大量の虫歯によって喪失するケースが多く、最後にインプラントが残るという場合が多い。
 高齢者自身が、ご自分の歯を含め、インプラント周囲もきれいに口腔ケアできれば問題ないが、現実はそのようなケースばかりではないのである。
 介助者が出来るだけ簡単にインプラント周囲と上部の構造体をクリーニングするための構造体の工夫や、インプラントを骨の中に埋めたまま、総義歯に移行させる方法等が示された。
 いずれにせよ、これからのインプラント臨床では、インプラントを計画する段階で、患者さんと、患者さんがどのような展望を持っているのか、高齢となった遠い将来どうするのか、良く検討する必要がある時代になってきている。