骨再生治療の過去、現在、未来を語る(インプラント)

 2019年6月30日、東京国際フォーラムにて、株式会社GC主催による、歯牙周囲とインプラントにおける骨再生治療の現在の最新の考え方とGC開発の骨補填材サイトランスの臨床応用が語られた。

 初めに、サイトランスの開発者の一人である徳島大学の宮本教授から、サイトランスの開発の経緯が語られ、日本初の国認可のインプラント専用の人工骨補填材であることが述べられ、その後、サイトランスの骨造成部における母床骨からの骨形成の良好なことが語られました。
 特に、サイトランスにおいて特徴的なのは、通常母床骨側の方から、化骨形成していくが、サイトランスの場合は、外側からの骨形成・置換が良好なケースが多く、骨膜性の骨形成の可能性が高く、今後の検証が必要であるとのことであった。

Contents

水上先生の講演


 次に、福岡県開業の水上先生が登壇され、再生医療の基本的なコンセプトの復習に始まり、バイオスの長期症例から、インプラント辺縁部がバイオスに感染した場合、バイオスが異物排除されトラブルになるケースが供覧された。
 ハンガリー・ブダペストで開業されている世界的にソーセージ・テクニツクで有名なUrban先生の講演ても、都内で数年前講演した際に同じようなトラブルケースを供覧したことがあります。
 Urban先生曰く「バイオスには必ず自家骨を半分程度混合して使うのが鉄則」「バイオス単独では予後においてトラブルが生じやすい」とのことであった。
 また水上先生からは、βTCPの臨床結果が供覧され、βTCP単独では、骨形成が余り良くない旨の研究発表があった。
 さらに骨造成時における歯肉の切開ラインとトンネリング・テクニックに関して文献考察され、より安定した一次歯肉弁の閉鎖がインプラントの植立成功になると共に、患者さんに優しいオペになることが解説された。

佐藤先生の講演

 15年間におけるGBRに対する考え方の移り変わりと題して、秋田で開業している佐藤先生の講演が行われました。
 佐藤先生の過去から現在までのGBRの変遷が示され、各種の骨補填材と遮蔽膜のご自身の使用の具体例が歴史を遡って示された。
 最近は脱・非吸収性メンブレンを目指していることが示され、メンブレンそのものを使わないケースも図説された。

谷口先生の講演

 札幌で開業している谷口先生がサイトランスを用いた骨再生治療に関して、エルビウムYAGレーザーを使用した新コンセプトの術式を提示し、エルビウムとの併用が極めて効率の良い骨再生治療の効果をもたらすことが講演の中で示された。

吉松先生の講演

 福岡の久留米で開業している吉松先生が、インプラント治療における再生マテリアルの重要性に関して、骨造成の原則(PASS principle)とサイトランスに関する使用上の諸注意をまとめられた。

船登先生の講演

 サイトランスを用いた臨床例の供覧を金沢で開業している船登先生が具体例を提示しながら、解説を行った。
 特に、骨再生における創面の初期閉鎖の重要性に関して話され、イタリア・フィレンツェ開業のコルテリーニ先生が提唱するSoft Tissue Stabilityから考える歯周組織再生のためのFlapの形成について細かな解説が行われた。
 また骨に直接接触するCTGは必ず骨に変化するという病理研究は大変興味深い物がありました。
 さらにVIT(Vertical Incision Tunnel Technique)とHIT(Horizontal Incision Tunnel Technique)に関する歯周組織再生療法の具体例が供覧され、更なる再生率の向上に繋がるFlapの形成法が提示された。